女性の生殖系。妊娠の解剖学と機能

妊娠の解剖学

不妊症の原因を学ぶ前に、生殖にかかわる主な臓器について学びましょう。

Female reproductive organs
  •  : 精子が女性の体内に入る道で、精子はここを通って卵子にたどりつきます。月経時の経血や分泌物の通り道、自然分娩では赤ちゃんの通り道にもなります。女性の分泌物は精子と卵子の合体を助けることもあれば妨げることもあります。
  • 子宮頸部 : 子宮の下側の狭い部分で、子宮体部と腟をつなぐ部分です。
  • 子宮体部: 胎児を育てる洋ナシの形をした器官です。子宮の内側は子宮内膜と呼ばれます。 卵子は受精すると子宮内膜に着床し、胎児として成長します。
  • 卵巣 : アーモンド大で子宮の両側にある器官。卵細胞を成熟させ放出します。卵巣の中には液体で満たされた卵胞があり、卵細胞はこの中で発達します。毎月1つの新しい卵子が成熟して卵管を通り子宮へ向かいます。また卵巣はエストロゲンとプロゲステロンという、生殖に欠かせない重要なホルモンを放出します。
  • 卵管 : 卵巣と子宮をつなぐ10cm程度の2本の管です。排卵時には、成熟した卵子が卵巣から排出され、卵管を移動します。ここで精子と出会うと受精が起こります。
妊娠の成立は、月経周期の間のホルモンの相互作用に大きく左右されます。いくつかのホルモンは卵巣で産生され、他のいくつかのホルモンは脳下垂体から分泌されます。

基本を思い出しましょう

正常な月経周期は28日で、この間に卵巣の卵胞から卵子が1つ放出されます。卵子は2つの卵管のうち1つを通って子宮に向かいます。途中で精子と出会うとそこで受精が成立し、新しい生命が誕生します。胚は分割を繰り返しながら子宮に移動し、胎児としての成長を開始します。受精が成立しなかった場合、または何らかの原因で胚が着床しなかった場合には、子宮内膜が子宮からはがれ落ち(月経 )、新しい月経周期が始まります。妊娠の複雑なプロセス

35歳を過ぎていて6か月以上妊娠しない場合には、すぐに医師の診察を受けたほうがいいでしょう1妊娠しやすさに影響を与える病気について

問題は私にある?

自分を責めないようにしましょう。10組に1組のカップルが、赤ちゃんができないことで悩んでいますが2、不妊症は女性だけの問題ではなく男性の問題でもあるのです。不妊症の主な原因が男性側にあるカップルは25%、男性側にも何らかの原因があるカップルは15~25%もいます3。正しい治療のために、2人揃って医師の診察を受けることが重要です。 

排卵障害

排卵は非常に複雑なサイクルなので、わずかな変化でも乱れたり、妨げられたりします。排卵障害の多くは、ホルモンのアンバランス 、すなわち、ホルモンの量が足りないか、ホルモン分泌のタイミングが悪いために起こります。また、急に痩せたり太ったりすることも原因の1つです。

卵管の障害

卵管に障害があると精子と卵子の融合が妨げられます。原因としては次のようなものが考えられます。

  • 卵管の炎症
  • 異所性妊娠 、卵管妊娠の経験があること
  • 手術後の瘢痕
  • 子宮内膜症による解剖学的な変化

子宮内膜症

子宮内膜症とは、通常は子宮の内部にある細胞が、子宮の外側、例えば卵管、卵巣 、膀胱 、腸などにまで増殖し、悪影響を及ぼす病気です。原因はまだわかっていません。

子宮や子宮頸部の変化

この部分に手術、閉塞、炎症などで瘢痕があると精子が子宮頸部から中に入りにくくなります。子宮内の良性の腫瘍である筋腫があることが持続的な不妊や流産の原因となることがあります。

生殖系の奇形

非常にまれですが、生殖系に先天性の異常があり、子宮 、卵管 、腟などの形が変形していて受精が妨げられることがあります。

多囊胞性卵巣症候群(PCOS)

これは多数の囊胞が卵巣内に形成される疾患で、多くの場合、男性ホルモン過剰と排卵障害に関連します。

免疫系の障害

まれに、免疫系の異常により卵子や精子が「異物」として認識され、攻撃されることがあります。

ライフスタイルも妊娠しやすさに影響を与えます。肥満、食生活の乱れ、ストレスも関連があります。ライフスタイルを見直して妊娠の可能性を高めましょう

1. Definitions of fertility and recurrent pregnancy loss. Fertil Steril 2008; 90:S60. 2. Boivin J et al, International estimates of infertility prevalence and treatment seeking: potential need and demand for infertility medical care. Hum Reprod. 2007;22: 1506-1512. 3. Collins J.A.. Evidence-based infertility: evaluation of the female partner. International Congress Series 2004; 1266: 57–62.